【本棚のある暮らし】静かなこだわりと、読書のひととき

本棚とお気に入りのディスプレイ

暮らしとともに育つ、本棚

本棚を見れば、その人の暮らしぶりが垣間見える。そんな言葉がありますが、僕もそう思います。ジャンルの偏りや並び方、背表紙の色合い、古びた紙の匂いまで、本棚にはその人の時間が刻まれています。

僕の本棚も、いつの間にか静かに変化してきました。以前は作者やジャンル別に几帳面に並べていましたが、最近は「今読みたい気分」でまとめてみたり、本も僕も呼吸がしやすいように、あえて余白を残してみたり。本とともに暮らす中で、棚もまた育っていくようです。

並べ方に、ちいさなこだわりを

ジャンル分けも好きですが、色や背表紙のデザインで並べるのも楽しいものです。たとえば、濃いブルーやグレーの装丁が並ぶ一角は、SFやミステリーの棚。好きな本屋やブックカフェのディスプレイを参考にしてみてもよいかもしれません。

最近は、好みのカフェのZINEや、旅先で見つけたローカルな本も少しずつ集めています。そういう本は、読み返すというより「そこにあるだけでいい」存在かもしれません。旅先の写真やお土産で購入した雑貨を本のあいだにそっと置いたりするのも、ちいさな楽しみです。

あとは、あえて「前に出す」本を決めておくのもおすすめです。今まさに読んでいる一冊を、平置きにしたり、カバーを外して“面出し”して飾ってみたり。背表紙を見せるだけではない、本との新しい関係が生まれます。

整っているようで、少しだけゆらいでいる──そんな棚が、僕らしいのかもしれません。

お気に入りのブックエンドで、整える時間もたのしむ

本棚まわりで最近気に入っているのが、無垢材のブックエンド。
シンプルなのに、佇まいがとても美しくて。背表紙の色合いとも相性がいいんです。
本を支えるだけじゃなく、そっと空間に馴染んで、インテリアの一部になってくれるのが嬉しい。

収納がスムーズになるだけで、本との関係も、なんだか心地よくなっていく気がします。

サイズや素材、安定感など、ブックエンドにもいろんなタイプがあります。
自分の本棚に合う「とっておき」を探してみるのも、ちょっとした楽しみ。
整えるという行為が、少しだけ愛おしく感じられるかもしれません。

「読みたい」気持ちに、そっと寄り添う空間

忙しい日が続くと、読みかけの本が増えていきます。それでも本棚の前に立つと、ふと手に取ってページをめくる気持ちになれるから不思議です。

背表紙がずらりと並んだ風景を見ると、読んだときの気持ちや、そのときの季節まで思い出せる気がして。たぶん僕は、本を読むことと同じくらい、本を眺めるのが好きなんだと思います。

おだやかな明かりと、ひと息つける椅子と、そっと背中を押してくれる本棚。読書は「時間をつくるもの」というより、「時間に寄り添うもの」なのかもしれません。

あとがき

本棚に向かっていると、つい時間を忘れてしまう。
読みたい本を探していたはずが、気づけば思い出をたどっていたりして──。

本があることで、ぼくの暮らしは少しずつ育ってきたんだと思う。
これからも、本棚と一緒に、静かに変わっていけたらいいな。