【読書の友】コーヒーと過ごす静かな時間

一日のうちに、読書とコーヒーが重なる時間があるだけで、暮らしがちょっと心地よくなる気がします。
朝の始まりに、午後のひと休みに。
ぼくが日々のなかで見つけている、そんな静かな時間の楽しみ方を紹介します。

ページをめくる朝の時間に、コーヒーを

朝の静けさの中で、一杯のコーヒーをいれる。
挽きたての豆の香りが立ちのぼると、部屋の空気が少しずつ目を覚ましていくような気がします。

朝の定番は、中深煎りで、すっきりとした飲み口の、お気に入りの焙煎珈琲店のブレンド豆。
自分で豆を挽くこともあるけれど、忙しい朝には、手軽なドリップパックもよく使います。

美味しい一杯が淹れられたら、それだけで気分がぐっと上向きに。
そんな時間に、ページを一つめくってみる。
まだ誰にも邪魔されない、心がふわっとほどける、静かなひとときです。


お気に入りのマグと本と

ぼくは、本を読むときに、たいていコーヒーを準備します。
お気に入りのマグカップで飲むと、それだけでほんの少し集中力が生まれて、本と自分の間に、やさしい距離ができる気がするんです。

愛用しているのは、飲み口がぽってりとした、口あたりのよいマグカップ。
撥水加工された陶器の素材が、コーヒーの風味を邪魔しないのもお気に入りの理由です。

一般的なコーヒー1杯の量は120〜150mlですが、ぼくはいつも2杯分を一度に淹れています。
時間をかけて読書することが多いので、途中で冷めてしまうのがちょっと悩み。最近は、カップウォーマーを導入しようかと考えています。

本の世界に没頭しながら、ふと目を上げてコーヒーをひとくち。
そのリズムが心地よくて、気がつけば何時間も、ページをめくっていたりします。


静かな午後、コーヒーの香りに誘われて

午後になると、不思議とまたコーヒーの香りが恋しくなります。
朝の一杯とはちがって、少しだけ深く、静けさを引き寄せるような一杯を。

とくに読書の続きを楽しみたいときには、濃いめに淹れて、気持ちを切り替えるスイッチのようにすることもあります。
疲れているときは、甘いものが欲しくなって、チョコやクッキーをそっと添えるのが定番です。
ほろ苦さと甘さのバランスが、ふっと緊張をほどいてくれます。

本とコーヒーの組み合わせは、決して特別なものじゃないけれど、
何でもない日常を、ほんの少しだけ丁寧にしてくれる――
そんな魔法のような存在だと、ぼくは思っています。

お気に入りの場所で、ページをめくる

本を読む場所って、いつのまにか自分の「お気に入り」ができてきます。
ぼくの場合、普段はリビングの一角にある、ゆったりした椅子のそば。
でも、休日になると、ちょっと足をのばして静かなカフェや、昔ながらの純喫茶に出かけるのも楽しみのひとつです。

いつもと違う空間で、家では淹れないような珍しい豆のコーヒーを頼んでみたり、名物のスイーツと一緒に味わってみたり。
そんな時間は、本を読むという行為に、ちょっとした旅のような彩りを添えてくれます。

スマートフォンやパソコンから少し離れて、ページをめくる音や、カップを置く静かな響きに耳を傾ける。特別なことはしていないけれど、自分を丁寧に満たしていくような、そんなひとときです。

あとがき

コーヒーをいれて、本をひらく――それだけで、時間の流れが少し変わるような気がします。
気負わず、でもほんの少しだけ自分をいたわるように、
そんなひとときが暮らしの中にあると、心の温度がすこし和らぎます。

忙しい日々の中でも、「今日はどんな一杯にしようか」と考える余白が、
読書の時間をより愛おしいものにしてくれているのかもしれません。

あなたにも、そんな静かな時間がありますように。