朝のまだ眠たい時間も、夕暮れのほっとしたひとときも。
カップから立ちのぼる湯気と、コーヒーの香りにふわっと包まれると、不思議と心がゆるんでいきます。
旅先のカフェで出会った一杯も、自宅で挽いた豆で淹れる一杯も、それぞれに小さな物語がある。
そして、その物語の扉をひらく鍵のひとつが、「豆のふるさと」と「焙煎」だと思うんです。
今日は、その基本についてご紹介していきますね。
産地で楽しむ、コーヒー豆の個性

コーヒーは、同じ品種でも、育つ土地の気候や土壌、標高によって、その香りや味わいが驚くほど変わります。
たとえば、高地で育った豆は酸味が際立ち、低地で育った豆はまろやかでコク深い味わいになることも。その違いはまるで、同じ旋律でも楽器が変われば響き方が変わる音楽のよう。
ここでは、ぼくが日常的によく飲む銘柄を中心に、産地ごとの個性や魅力を旅気分でご紹介します。
アフリカ・中東のコーヒー豆
キリマンジャロ(タンザニア)
しっかりした酸味とコク、甘い香りが特徴。酸味は質の良いすっきり感。浅煎りでは果実味のある爽やかさ、深煎りでは上品な苦味が際立ちます。
モカ(イエメン/エチオピア)
フルーツのような酸味と甘み、豊かな香気が魅力。特にイエメン産「マタリ」やエチオピア産「ハラー」は、華やかで個性的な風味。
ケニア
ベリー系のような明るい酸味と強い香り。深煎りでも酸味が生きるため、ヨーロッパでも人気の銘柄です。
中南米のコーヒー豆
ブルーマウンテン(ジャマイカ)
香り、酸味、苦味、コクのバランスが絶妙で「コーヒーの王様」と呼ばれる存在。軽やかな口当たりと滑らかな喉越しが楽しめます。
ブラジル
酸味・苦味・コクがほどよく調和した万能タイプ。ブレンドのベースにも多用され、毎日飲んでも飽きにくい味わいです。
グアテマラ
果実を思わせるフレッシュな酸味と甘い香り、しっかりしたコク。華やかな香りが印象的で、後味はすっきり。ぼくが一番好きな豆です。
コロンビア
ナチュラルな甘さと重量感のあるコク、フルーティーな香り。バランスが良く、コーヒーのスタンダードとして親しまれています。
コナ(ハワイ島)
強い酸味と甘い香りが特徴。「世界三大コーヒー」に数えられ、まろやかな酸味がブレンドにも華やかなアクセントを加えます。
アジア・オセアニアのコーヒー豆
マンデリン(インドネシア・スマトラ島)
しっかりした苦味と深いコク、酸味控えめ。ハーブやスパイスを思わせる独特の香りが楽しめます。
トラジャ(インドネシア・スラウェシ島)
濃厚なコクと上質な苦味、酸味はほとんどなし。重厚で力強い味わいが余韻を残し、ゆっくり過ごす時間にぴったり。
焙煎度で変わる、香りと味のバランス
同じ豆でも、焙煎の度合いでまったく違う表情を見せます。
浅炒りは軽やかで爽やか、中炒りはバランス型、深炒りは力強く香ばしい味わいに。
浅炒り(ライトロースト・シナモンロースト)
豆本来の風味や酸味が際立つ、軽やかな口当たり。フルーティーな香りを楽しみたいときにおすすめ。
中炒り(ミディアムロースト・ハイロースト)
酸味と苦味のバランスが取れた焙煎度。普段飲みや、初めて豆を選ぶ方にも向いています。
深炒り(シティ〜イタリアンロースト)
強い苦味と香ばしさ、濃厚なコクが特徴。エスプレッソやカフェオレ、アレンジコーヒーにぴったり。
焙煎度 | 別名 | 味の特徴(ロクの語り) | 色見本 |
---|---|---|---|
浅炒り | ライト / シナモンロースト | 豆本来の風味が生きた軽やかさ。酸味が際立ち爽やか。 | |
中炒り | ミディアム / ハイロースト | 酸味とコクの調和。毎日飲んでも飽きないバランス型。 | |
深炒り | シティ / フルシティ / フレンチ / イタリアン | 香ばしさと苦味が主役。ビター好きやアレンジコーヒー向き。 |
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好みの味を知って、お気に入りを見つけると、もっとコーヒーが好きになるかもしれませんよ。
あとがき

豆の香りや焙煎の色合いを知ると、毎日の一杯が少しだけ特別になります。
旅先で見つけたお気に入りのカフェも、自宅で静かに味わう時間も、その背景にある産地や焙煎を思い浮かべるだけで、カップの中に広がる世界がぐっと豊かになる気がします。
次の一杯は、どんな豆でどんな時間を過ごそうか――そんな小さなわくわくを胸に、またコーヒーを淹れたくなりますね。